自伝を書く

誰もが持つ本のテーマとは 皆が本のテーマにできるものである。それは自分の人生そのものだ。誰もが人生を持っている。 長い人、短い人いろいろある。比較的穏やかな人生、激しい人生、どれもが本のテーマになる。 通常の記憶力を持つ人ならば、自分の人生をテーマにした本が書ける。いわゆる自分史と いうジャンルは、自費出版本の主流を占めている。 人生を書くといっても、生まれてから今までを書くこととは限らない。ある一時期の経 く手もある。忘れ得ない人生の一幕を、誰もが持っている。 体験に焦点を当ててもいい。人生の転換点となったある特定の出来事だけを対象に書 く。先に挙げた、いい本を書くための4つのハードル。自分の人生を書くにしても、誰を読 者に想定したいい本を目指すのか。まずはそこを決めよう。 まず、今までの人生を自省する。目指すは第、他人のことを気にせず、体裁は繕わずに、気楽に筆を進めればよい。読者の対象は自分自 身であれば、心の赴くまま、自由自在に書けばよい。表現も、自分に通じればそれでいい。自分にとっていい本であればいい。いわゆる日記の本格版である。これが第1のハードルである。自分のために書いた本だから、他人が読んでも大方つまらない。 自分史の定番は、自省とともに、自分の人生を支えてくれた配偶者、親族、親戚、友人 などに読んでもらうための本だ。いい本にするには、第 2のハードルを越える必要がある。 これから長い人生を送る後進の人たちへ、人生の先輩としてのメッセー ジを送り、今までお世話になった人々に感謝を込める。読む人にいい本だと思ってもらうものを書かなく てはいけない。 表現方法を凝る必要はない。むしろ表現は稚拙な方が、特定な人間関係の中では親しみ ることが、特定メンバー限定本の魅力を増すコツだ。 特定コミュニティにのみ通じる合言葉や呪文、そして知る人ぞ知るローカル情報を満載にし、語りかけるような、温かみを文章に込める。赤の他人には分らない、自分を中心とする が湧くかもしれない。あまりにも優雅な文章では、返ってよそよそしい。 人生の過程で、滅多にない特異な経験や体験をした人は、第 3、 第 4のハードルを目指す。 セラー狙いの勢いを持つかもしれない。自費出版ではなく、商業出版の可能性も出てくる。 顛難辛苦の末の大成功、昭和平成太閤記風人生謂は、プロ作家の一角に割り込み、ベスト でも、相当な大成功でないと難しい。少々の成功では通用しない。にわか作家が、気を付けるべきポイント 半端な自慢話になるきらいがある。他人の自慢話本に興味を持つのは、金儲けに走る悪徳 出世太閤記的夢物語は滅多にないが、他人が読んで参考になりそうなプチ成功体験は、 語との境界線は微妙だ。 多くの人の魅力となるだろう。本の売り上げも、伸びるであろう。自分でも出来そうな話や、人生の参考になる話は、 成功物語とは逆に、超アンラッキーな人生というのも、読者老惹きつける可能性がある。 ここでも中途半端な失敗物語は、悪徳出版社と山羊以外には見向きもされない。 読者の同情と涙を誘う。判官最員で、悲しい物語の好きな日本人の、琴線に触れるか、どうか。 その一方で、「明日は我が身」的、あるいは「オレも気をつけよう」的な庶民に身近な内 容は、多くの読者を獲得する。 第 3、第 4のハードルに挑戦し、一般読者を対象に自分の特異な体験を書く場合、テー マとなる自分の人生と、読者の人生の距離感が本の魅力を左右する。とても遠い場合は、おとぎ話的魅力を放つ。かなり近ければ、読者の感情移入を誘いやすい。遠くもなく、近くもない。いわゆる中途半端領域に、 多くの本が、吸引されてゆく。 読者は寄りつかない。この領域はとても広く、プロ作家、素人作家を問わず、出版される これらの距離区分は抽象的で、判断は難しい。第34のハードルを越えるのは大変である。